親や家族が亡くなり不動産を相続することになったものの、使用する予定がないのでできれば売却したいと考える人は少なくありません。
そのようなケースでも、相続登記は必要なのでしょうか?
またどのような税金が発生するのでしょうか。
今回は、使用しない不動産を相続したときに売却する流れと発生する税金、相続時におすすめしたい換価分割について解説していきます。
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不動産を相続し、そのまま売却するときでも、いったんは相続登記の手続きが必要です。
相続の発生から売却までの流れを確認しておきましょう。
相続の発生
被相続人が亡くなったら、死後7日以内に死亡診断書とともに死亡届を役所に提出します。
遺言書の有無を確認
被相続人が遺言書を残していないか確認します。
一般的には自宅の金庫や日常的に使用していた机などに保管していることが多いようです。
公正証書遺言の有無は、公証役場の「公正証書遺言検索システム」で調べられます。
法定相続人の調査と確認
遺言書が見つかればそれに従いますが、なかった場合は相続人を確定する必要があります。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を取得して、相続人を確定させましょう。
相続財産の調査と確定
続けて相続財産を調査し確定します。
今回は不動産相続の流れを想定していますが、相続財産は金融財産なども含めてすべて調査が必要です。
住宅ローンや借金など、負の資産もすべて洗い出しましょう。
遺産分割協議
法定相続人と相続財産が確定したら、相続人間で遺産分割協議を行いどのように遺産を分け合うか話しあって確定します。
不動産については、売却を前提とするのであれば「換価分割」で分配します。
換価分割については、後ほど詳しく解説します。
相続登記
不動産を相続する人が決まったら、不動産の相続登記を行います。
すぐに売却する場合でも、亡くなった人から買主に直接名義変更はできず、いったんは相続人の名前で登記しなければなりません。
この一連の流れで相続の手続きは終了です。
不動産業者に売却を依頼
相続人に名義が変更されたら、続けて売却の手続きを進めるために、売却を依頼する不動産業者と契約します。
売却後に所有権移転登記
買主が見つかり売買契約を結んだら、買主に所有権を移転する手続きを行います。
これで相続の発生から売却までの流れは完了します。
不動産を相続して売却するときに発生する税金
ここからは、不動産を相続してから売却するまでに発生する税金を紹介していきます。
登録免許税
不動産を相続したときは相続登記を行いますが、そのときに発生するのが登録免許税です。
登録免許税は、
相続した不動産の固定資産税評価額×0.4%
で算出します。
たとえば相続した不動産の固定資産評価額が1,500万円だった場合には、
1,500万円×0.4%=6万円
が登録免許税額です。
相続税
相続により発生するのが相続税です。
相続税には基礎控除が定められており、控除額を差し引いた金額に対して相続税が発生します。
相続税の基礎控除額=3,000万円+(相続人の人数×600万円)
たとえば不動産を含む遺産総額が8,000万円、相続人が子ども2人だった場合には、
8,000万円―3,000万円+(2名×600万円)=3,800万円
となります。
子どもの法定相続割合はそれぞれ2分の1であるため、それぞれの課税対象額は
3,800万円÷2=1,900万円
です。
1,000万円超3,000万円以下の相続税率は15%、控除額は50万円なので、
1,900万円×15%-50万円=235万円
となり、ひとりあたりの相続税額は235万円になります。
ただし、相続税についてはさまざまな特例が用意されています。
たとえば被相続人と一緒に住んでいた土地を相続したのであれば、「小規模宅地等の特例」が適用されて、330平米までは80%減額されます。
相続税額が大きくなりそうなときには、活用できる特例がないかを確認するようにしましょう。
印紙税
印紙税は、経済取引で作成する文書に対して課税される税金で、不動産売買時には売買契約書に収入印紙を貼ることによって納税します。
印紙税は、契約金額により納税額が決まっています。
100万円超500万円以下:2,000円
500万円超1,000万円以下:1万円
1,000万円超5,000万円以下:2万円
5,000万円超1億円以下:6万円
1億円超5億円以下:10万円
ただし令和4年3月31日までは軽減措置がとられています。
1億円以下はすべて50%に、1億円超5臆円以下は6万円に減額されます。
譲渡所得税
不動産を売却して利益が出たときには、譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税の税率は、売却した不動産の所有期間が5年以下なら30%、5年超なら15%です。
譲渡所得は、
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
で算出します。
譲渡収入金額は売却して得たお金、取得費は不動産を取得するためにかかったお金、譲渡費用は不動産を売却するのにかかった費用を指します。
たとえば亡くなった親の家の取得費が3,000万、売却にかかった費用が200万、売却した費用が4,000万円だとすると、
4,000万円-(3,000万円+200万円)=800万円
が課税対象となる譲渡所得になります。
相続してから5年以内に売却した場合、譲渡所得税率は30%なので、
800万円×30%=240万円
が譲渡所得税になります。
ただし、譲渡所得税についても、相続税の申告期限から3年以内に売却すれば税負担が軽くなる「相続財産を譲渡した場合の所得費の特例」や、相続した空き家を売却したときの「空き家売却の3,000万円控除の特例」などがあります。
不動産売却においても相続時と同様に、活用できる特例がないかは慎重に確認することが大切です。
住民税
続けて発生する税金が住民税です。
住民税は、相続して5年以内であれば9%、5年を超えてからは5%必要です。
前述の例なら、譲渡所得800万円×9%で、72万円の住民税が発生します。
復興特別所得税
復興特別所得税は、相続して5年以内であれば譲渡所得の0.63%、5年を超えてからは0.315%かかります。
上記の例では、譲渡所得800万円×0.63%で5万400円になります。
使う予定のない相続不動産は売却して換価分割しよう
相続した不動産を使う予定がないのであれば、売却して得た金額を相続人で分け合う「換価分割」するのがもっともトラブルを防げます。
不動産の遺産分割は、現金と異なり平等に分け合うことが難しいものです。
まだ土地だけであれば、分筆することで等分できなくもありませんが、それでも形状や日当たりなどで、誰がどの部分を相続するかでもめる可能性があります。
ましてや建物は分割して分けることはできません。
その点相続した不動産を売却し、利益を分け合うのであれば、目に見える「現金」という形で1円まで平等に分配が可能です。
換価分割をするときには、実際に売却手続きをする相続人を選び、選ばれた相続人がいったん自分の名義に相続登記をしてから売却活動を行います。
そのときには遺産分割協議を行い、全員の合意のもと、誰が売却するのか、売却金額の最低ラインや期限などをきちんと決めておくことが大切です。
まとめ
不動産を相続し、売却するまでの流れや発生する税金などを解説してきました。
不動産は現金と違い価値が目に見えず、相続人同士でどのように分配するか決めるのが難しいものです。
そういったときには売却して現金化する換価分割することで、トラブルを最低限に防げます。
不動産の相続が発生したときには、換価分割を検討してみてはいかがでしょうか。
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